株式会社井出自動車整備工場
設立:昭和42年5月
本社:福島県双葉郡富岡町字夜の森南1-27-13
0240-22-2008
いわき営業所:福島県いわき市平下神谷字下川原114
代表取締役:井出法泰
事業内容:車検整備・定期点検・新車中古車販売 
板金塗装・自動車保険・レンタリース
HP http://www6.ocn.ne.jp/~idekk/
震災から約100日。事業再開を実現
------1度もやめようと思ったことはなかった------
桜の名所で知られる福島県双葉郡富岡町夜の森。福島第二原子力発電所があり、富岡町の北に位置する大熊町には、福島第一原子力発電所があります。東日本大震災後に発生した福島第一原発の事故により、富岡町は警戒区域に指定されました。富岡町夜の森で車検整備・新車中古車販売・板金塗装などを行う、井出自動車整備工場(井出法泰代表取締役)は、福島第一原発から8.5キロ。震災当日の夕方、ワンセグテレビで「福島第一原発から3キロ圏内避難勧告」の情報を知り、井出社長は家族とともに車で避難しました。

当初、2、3日で戻れるものと考えていましたが、震災から4日経過した3月15日、井出社長は避難が長引くことを懸念し、社員全員に避難資金として当座の生活資金を振り込みました。
「社員の生活がある」。井出社長は避難生活を送りながら、毎月社員に当座の資金を振り込み続けました。

原発事故は収束せず、事業活動の停止を余儀なくされましたが「一度もやめようと思ったことはなかった」と井出社長。事業を再開するために、やれるだけのことを行動に移します。
------事業再開のため奔走------
「商売がやりたい」。強い思いがありました。井出社長は避難先と富岡町とを行き来しながら、会社からパソコンや工場の検査機器などを搬出して、福島県広野町に住む友人のところに一時保管。お客様には「必ず再開する」と連絡して、事業再開のために奔走しました。

いわき市を拠点とする事を決め、2カ月後の5月に会社説明会を開催。「単身赴任になる社員もいるだろう」と土地を借り、従業員用の住宅としてプレハブ3棟を建設。6月1日には現在のいわき営業所に社員9人が集まり、翌7月1日に本格的に事業が再開されました。

平成24年1月現在、社員は18人。いわき営業所はスペースが狭く、入庫調整しながら操業している状態です。大型車も入れないため、中小企業基盤整備機構が、いわき市四倉町の四倉中核工業団地内に建設を進める仮設施設に、第二工場を建設することを決めました。第二工場は、平成24年3月頃のスタートを見込んでいます。
危機的状況に立ち向かう、井出社長の諦めない強い心と行動力が、震災から約100日で事業再開を実現しました。
------故郷のために何かしたい------
「富岡町そして双葉郡のお客様に育ててもらった」。井出社長には「故郷のために何かしたい」という想いがあります。
そのひとつとして、大型バンを富岡町民に無償で貸し出しました。車が故障してしまい使えない場合や、警戒区域から荷物を運び出す時などに有効利用されました。今後は富岡町商工会に車を貸し出し、富岡町民に利用してもらうことを検討しています。

「この1年は早かった」。井出社長は振り返ります。従業員の生活の安定を考え、一刻でも早く事業を再開させるため走り続けた1年。原発事故に翻弄され続けながらも、仲間とともに、井出社長は力強く歩みを続けています。
平成24年1月取材