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仮設住居の暮らしに、コンビニの利便性を役立てたい

泉田一就さん[郡山市]
■Plofile
富岡町出身。大熊町の国道6号線沿いでコンビニエンスストア「セブンイレブン」を経営。自宅は富岡町で、妻、15歳、12歳の子どもと両親の6人家族。
東日本大震災で発生した地震により、お店の商品が床に落ちる被害はあったものの、明日からは営業できるだろうと帰宅。次の日の朝6時頃、付近を周っていたパトカーに「避難するように」と言われ、何もわからず、何も持たずに知人のいる郡山市へ避難。
福島第一原子力発電所から約3.5キロ付近だった大熊町の店舗へは、震災後の4月に貴重品を取りに戻ったのみ。

子どもの学校が郡山市内に落ち着いたのをきっかけに

泉田さんの家族は、避難者住宅支援制度により、郡山市内の仮上げマンションにまずは落ち着ちつきました。子どもが近くの学校に転入したこともあり、同じ市内でセブンイレブンの営業再開を希望。その頃、セブンイレブンの本部から、お店の移転先として提案されたのは、宮城県や金沢市といった県外ばかりでした。

子どもの学校のことを一番に考える泉田さん夫妻は、郡山市内でなんとかならないかと思案。そんな中の7月に富岡町の仮役場と住民の避難先だったビッグパレット近くに、仮設住宅が建設される話を耳にします。
これだと思った泉田さん。すぐに郡山市役所で詳細を聞き、仮設住宅の図面をもらい、セブンイレブンの本部へとかけあいます。
それが、仮設住宅の近くに仮設のコンビニを建てるきっかけに。

仮設住宅に暮らす人の役に立てることができれば

「コンビニの利便性を仮設住宅に暮らす人たちの役に立てることができれば。少しでも雇用につながれば」。そんな想いから本部にかけあった泉田さん。
立地条件から集客数を調べた本部からは「大熊町のような売り上げは見込めませんよ」と念を押されます。
それでも泉田さんは、地域の人の役に立てるならときっぱり希望。
ビッグパレットの前にある仮設店舗予定地のオーナーも、泉田さんの話に納得し、「役に立つなら」と話が決まりました。

お店のオープン許可がおりたのが10月末。着工から11月18日のオープンまで、最短16日という早さに、本部の担当者も驚きをかくせませんでした。
震災後、仮設のセブンイレブンがオープンしたのは、宮城県内で3店舗。いずれも震災の被害で建物が壊れ、同じ場所に仮設店舗を設置しています。
福島県内では初めてで、通常、人通りの多い場所に出店するコンビニが、一歩入った場所にオープンするのも珍しい事例です。オープニングイベントには、新聞・テレビ等報道陣の取材も来て盛況に。

もう一回チャレンジできる喜びの方が大きい!

現在スタッフは、仮設住宅で暮らす人も含め新規の採用ばかり。
大熊町では約20年、地元のスタッフとともに、安定したコンビニ経営を継続してきた泉田さん。「大熊町では経験しなかった、一からのスタッフ教育や、地域で暮らす人とのコミュニケ―ションを大切にした接客など、新しい環境でもう一回チャレンジできる喜びの方が大きい」と話します。

近くにスーパーはなく、お年寄りが多い仮設住宅内で、セブンイレブンは心強い存在に。
通常、コンビニで売れる弁当類に加え、日々の食卓を彩る惣菜や酒類が人気を呼んでいます。
夕飯の材料の心強い味方となる、野菜や卵などを置くスペースも設置されました。
「なかなか外に出ることのできないお年寄りに、週2回くらいのペースで配達できれば」と“御用聞き”サービスも考案中です。

「コンビニを利用する習慣のない人に、便利なATMサービスや各種機関への振込など、銀行や郵便局に行かずにコンビニでできるサービスも知ってもらいたい。まずはコンビニの便利さを知って、利用してほしい」と話す泉田さん。
コンビニの利便性を活かしながら、コミュニケーションを大切にした店づくりに、やりがいと期待を寄せています。震災後に知り合い、お世話になった人たちや、コンビニ本部への感謝の気持ちで、「震災がもたらしたさまざまな人との縁は、お金では買えない財産。失ったものより得られたことの方が大きい」と、明るく話す泉田さんが印象的でした。




●お問合わせ先

セブンイレブン(ビッグパレットふくしま前仮設店舗店)
 ●住所/郡山市南2丁目50番 
 ●電話番号/024-945-0013  ●営業時間/年中無休