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「浪江焼そば」ふるさとの味に集う"再会の場"

芹川輝男さん[二本松市]
■Plofile
浪江町出身。浪江町内で創業から35年、浪江町内で国内産そば粉100%使用の手打ちそばが自慢の「杉乃家」を営業。席数80席の3階建てのお店で、町興しで「なみえ焼そば」が全国でも有名になると、数あるなみえ焼そばを出すお店の中でも評判に。県外からの杉乃家ファンも多数訪れています。震災後、平成23年7月1日、避難先の二本松市内で「杉乃家」を再オープン。

奥さんの「やったら」の一言で、ふみ切れた「杉乃家」再オープン。

平成23年3月の震災後、浪江町が避難警戒区域による避難指示を受け、芹川さんは、当初会津若松に1カ月、猪苗代の観光ホテルに2カ月滞在。何もしない日々は本当に長く、何かしなければと言う思いで、猪苗代に移ってからの2カ月間は、磐梯山を登ったり、近場の2時間弱のコースを毎日歩いて体力づくりに励んだそうです。

というのも、実は早くから「お店を始めなよ!」と二本松市内にいた芹川さんの知り合いの釣り仲間が、お店の開店を勧め、二本松駅近くにある二本松市市民交流センターの一角を、商工会議所の人に話を通してくれていたのです。あとは、芹川さんがオープンするのを待つばかりだったとのこと。

芹川さんは現在63才。体力づくりに励んではいたものの、年齢的にはお店を再スタートすることに迷いがあったといいます。その時の最終的な決定は、芹川さんの奥様の「やったら」の一言。「妻が一緒にやってくれるのであればできる」と確信した芹川さん。
オープンした現在、奥様が丼物担当。「浪江焼そば」は芹川さんが担当。「焼そばのフライパンは、ほかの人には振らせない」の言葉に、芹川さんの「浪江焼そば」への熱いこだわりが。
実はお店を開店するにあたって、もう一つ重要な問題がありました。

直径6㎜の手打ち極太麺にかける「杉乃家」のこだわり!!

浪江町では「浪江焼そば」の共通の定義が3つあります。
その1「中華麺の太麺を使う」
その2「具材はモヤシと豚肉を基本とする」
その3「ソース味であること」

この定義をもとに「浪江焼そば」をメニューに出すお店が約20店舗。
その中でも杉乃家さんの太麺は直径6㎜の極太麺。実は麺も芹川さん自身がお店で打つ、手打ち麺というこだわりがありました。

オープンする二本松のお店では、麺を打つスペースが足りず、以前イベントで知り合ったという二本松市内の製麺所に製麺を頼むことに。
何度か試作を重ねるも、どうしても納得がいかない芹川さん。
浪江で使っていた国産の粉に変えて製麺してもらったところ、味が近くなり「これなら大丈夫」ということに。
製麺所の人には、麺に使用するには、あまりにも良い粉で驚かれたそうです。

「まずは食べてみ。食べた方が早い」と早速フライパンを振って出してくれた「なみえ焼そば」は、モチモチと食べ応えのある太麺。しゃきしゃきとした「成田モヤシ」が麺と同量にたっぷり入って食べ応えあり!豚肉がちょうどいい厚みで入っていて、濃くのある甘口ソースと絡まり、県外からも浪江焼きそばファンが食べに来ていたという納得の美味しさ!
ボリューム感たっぷりですが、「女性でも大盛りを食べてくよ」と言うのがうなずける満足の一皿。

芹川さんが話してくれたのは、なみえ江焼そばが盛られているお皿。
実は浪江町の伝統工芸品「大堀相馬焼」で作られたもの。古来から縁起が良いと言われている「馬九行久(うまくいく)」の意の九頭馬が描かれています。

浪江町商工会青年部が、地場食文化を通して地域の活性化を願い「浪江焼麺大国」を2008年11月に建国。浪江町で従来より名物であった「太麺焼そば」を全国に発信しようとPRしたのが「なみえ焼そば」のはじまり。
「浪江焼麺大国」が、大国の製法にしたがい素晴らしいなみえ焼そばを完成したお店に授与するのが、浪江焼麺大国の検麺(認定)の認定証。
この大国検麺に合格したお店でのみ、なみえ焼そばを「馬九行久」が描かれたお皿で食べることができます。

「残念ながら震災で20皿しか残ってないんだけどね」と芹川さん。
貴重なお皿でいただくことができて、お腹も心も満たされるなみえ焼そばの逸品です。 

「がんばろう!浪江 ありがとう!二本松」

オープン後、芹川さんが予想していたように、杉乃家には来る人来る人、なつかしい浪江町の顔ぶれがそろい、連日笑顔と涙で抱き合う姿も見られることに。
それこそ、芹川さんの望むところでもあり、ここに来て浪江町の人が元気になってくれればと願うところでもあります。

二本松市の人との度重なる出逢いがありオープンを迎えました。お世話になった二本松市の人たちへ、感謝の気持ちをこれからお返ししていきたい。そんな想いから、店内いっぱいに「がんばろう!浪江 ありがとう!二本松」の旗が掲げられています。

「ともかく仕事をしていて楽しい。避難所生活は何もすることがなく大変だった。早くほかの浪江焼そばを作っていた仲間、浪江町の商売をやっていた人が営業を再開してくれれば」と芹川さん。

震災後立ち上げた「浪江町を励まそう会」の活動では、県内の仮設住宅へ出向き、「浪江焼そば」をふるまう活動にも取り組んでいます。取材の際も「浪江焼きそばを食べたい」と話している小中学校の子どもたちのため、出張でふるまうのを、小中学生が休みの土日にしてほしいとの要望が入り、1,600食を作りに行く打合せをしていた多忙ぶり。

お店で、外のイベントで、日々まわりを元気にしている芹川さん。
伺ったこちらがまさに元気をいただき、また、美味しいなみえ焼きそばを食べにいきたくなる「杉乃家」さんでした。




●お問合わせ先

浪江焼きそば・天丼 杉乃家
 ●住所:福島県二本松市本町2-3-1 二本松市民交流センター1階
 ●営業時間11:00~15:00/17:00~20:00  ●休日:月曜日 
 ※焼きそばだけではなく、ラーメンや丼ものなど様々なメニューがあります。