株式会社デコ屋敷 大黒屋
創業:江戸時代元禄年間の頃
福島県郡山市西田町高柴字舘野163
TEL024(971)3176
本家大黒屋 伝統人形師21代:橋本彰一
事業内容:三春駒・三春張子・民藝品製造
<関連企業>土産品物産館/資料館/軽食

HP http://www.dekoyashiki-daikokuya.co.jp/
300年の伝統の技を活かし、郷土の魅力を伝える
歴史と伝統の里から、人々を魅了する“デコのシロクマ”誕生
2011年11月19日。ザ・リッツカールトン大阪の会場はこの日、200人の招待客が黒のタキシードに黒のフォーマルドレスの装いで出席。
黒を基調とした会場内で、ひと際目を惹くのは、和紙で造られた等身大の “シロクマ”。
シロクマの毛並みを表現するのは、昔ながらの手漉き和紙の製法を守る、東北の伝承文化 “上川崎の和紙”(福島県二本松市生産)。
シロクマのボディは、型に紙を張って重ね、乾いたのち型を取り出して造る “デコ”(張子のことを方言でデコと呼ぶ)。
制作したのは、福島県郡山市で300年の歴史と伝統を受け継ぐ、三春張子と三春駒の発祥の地“高柴デコ屋敷”本家大黒屋21代当主 橋本彰一氏(伝統人形師)。

イベントは"TAKE ACTION CHARITY GALA 2011 with Lenovo"。元プロサッカー選手、中田英寿氏が日本の伝統文化・工芸の発展を目的に、「REVALUE NIPPON PROJCET」で制作した作品を披露。オークションなどを行い、 今後の伝統文化の魅力を多くの人に伝えるプロジェクトの活動資金にあてられます。

今回のオークションで、「シロクマ」は「世界的ピアニスト辻井伸行さんがあなたのためにピアノを弾いてくれる権利」に次ぐ2番目の人気の高さで落札されます。
2012年3月末に東京の銀座三越で、等身大シロクマの展示とミニチュア版が限定発売。
表現したかったのは素材を活かした作品づくり
橋本さんは美大を卒業後、美術教師の道に進み、平成21年家業を継いで当主となります。
伝統の三春張子・ダルマ・十二支・お面・三春人形などを制作するうちに、和紙の素材を活かした張子のおもしろさに気づきます。
いつのまにか張子の可能性を追求できる、オーダーメイドの注文が集まるように。「新しいものを表現したい」「もっと大きな作品が作りたい」。作品への創作意欲が高まっていました。

2011年6月、同世代の中田英寿氏が立ち上げた「REVALUE NIPPON PROJECT」から声がかかります。
伝統を継承する“匠”が持つ価値と可能性を発掘するプロジェクトへの参加。橋本さんは300年の伝統を受け継ぐ、人形師としての腕が試されます。
4ヶ月の制作期間を経て完成した “デコのシロクマ”。
「REVALUE NIPPON PROJECT」の作品として発表されると、その圧倒的な存在感は見る人を魅了。全国に“三春人形”の素晴らしさを伝えます。

同じ地元の「上川崎の和紙」を使用したことは、福島県の伝承文化を知ってもらうチャンスにもなり、嬉しいと話す橋本さん。
3月の震災後から、工芸家として地元に何ができるか、自身に問うことになります。
制作工程が見学できます。絵付け体験受付中(電話にて予約)。材料の手配上、グループでお願いします。
“七転び八起き”の願いを込めた「復興ダルマ」
「高柴デコ屋敷」は、江戸時代元禄年間の頃、デコ人形を制作する工人が集う里として、以来300年の伝統を今に伝えます。現在は4軒の人形制作者が営業し、制作工程を見学しながら、絵付け教室の体験(要予約)もできる、福島県の人気観光地の一つとなっています。

2011年の震災後、“7月8日”を“七転び八起き”で「だるまの日」とし、デコ屋敷では「第1回だるまサミット」を開催。
「福島はだるまの一大生産地。復興のシンボルとして、福島をPRしていきたい」。
中心となった橋本彰一さんは、デコ屋敷の人形制作者と共に、県内の白河・福島・三春・いわき4地方のだるま職人と集結。だるまで福島県の良さをPRすることを誓います。

「だるまの日」以来、復興だるまに応援メッセージを書いて、大切な方に贈る人が増えています。
たくさんの暖かい励ましの言葉が寄せられる復興だるま。みんなの想いをひとつに、困難を乗り越えられるよう願いを込めます。

「伝統は、発展を繰り返すことで伝承される」と話す橋本彰一さん。
土人形が主流だった元禄文化の頃、和紙を用いた「張子」の手法で表現の幅を広げ、一躍天下の名玩と人気を呼んだ三春人形。

先人の叡智は、確かに現代の人形師へと受け継がれ、高柴の “デコ”「三春人形」の魅力を今もかわらず全国に発信。郷土が誇る伝承文化の魅力は、福島県の魅力となって、今復興へと導いてくれています。


平成24年3月取材
「だるまサミット」開催。古民家を利用したイベント&ギャラリースペース。
(下写真)年賀切手に使用された“木彫りの三春駒”が人気。(「彦治民芸」左写真)。縁起物の干支・だるま・お面がおすすめ。(「本家恵比寿屋」中写真)。三春人形を多く制作。敷地内の高柴デコ屋敷資料館で展示される三春人形は必見。(「恵比寿屋」右写真)